わすれ草

やませが吹いて寒い夏だなと思っていたら、4、5日前からここ北東北にも暑い夏が来ました。この暑さがないと稲の出穂がないので、農家は一安心です。昨日は34度もありました。

本格的な暑い夏がやって来たと、まずはヒグラシが知らせてくれます。夕方、あっちこっちで順番に鳴き交わします。アブラゼミやミンミンゼミのように斉唱するのではなく、順番に輪唱するかのように鳴きます。それも同じ場所からではなく、場所を変えて高い桂の枝から、低い栗の幹から、かなかなかなかなと、鳴き終わると移動して、活動的です。

夕方にはすでに風は心地よい風になり、夏の夕方ってこうでなくちゃ、昼間の暑さもなんのその、外での夕涼みが気持ちいいのです。

そうです。夕涼みという言葉が生きている、現実にあるのが、東北のいいところです。都会ではアスファルトの熱気でそうはいかないでしょう。

暑い夏がやってきたと同時に、開いた花があります。

野萱草(のかんぞう)と思っていたら、花が八重なので藪萱草(やぶかんぞう)でした。春には山菜として若芽をいただいたのです。その後、厚みのあるすすきのような葉を茂らせ、つぼみを持ち、少しずつ膨らませていたのですが、この暑さで気が付いたら花が開いていました。一日花ということでしたが2、3日は咲いていて、次から次へとリレーしながら咲き続けています。わすれ草とも言います。わすれな草とは別種です。

宮沢賢治作詞作曲の歌の中で、ふんわかとした曲想で家主は好きなのですが「牧歌」という歌があります。その中にこのわすれ草が出てきます。夏を代表する東北の花の一つです。

  牧歌    劇「種山が原の夜」より


1.種山が原の雲の中で刈った草は
  どこさが置いたが忘れだ  雨ぁふる

2.種山が原の せたかの芒(すすき)あざみ
  刈ってで置きわすれで 雨ぁふる雨ぁふる

3.種山が原の霧の中で刈った草さ
  わすれ草も入ったが忘れだ 雨ぁふる


6番までありますが、機会があったら聴いてみてください。独特の音感です。
この中に出てくるわすれ草ものかんぞうかやぶかんぞうでしょう。

我が家のやぶ萱草、川沿いに咲いています。開けた畑地にオオハンゴウソウと混じり、栗の木下に、竹やぶにオレンジ色の花が鮮やかです。3倍体で種無しということは、球根が川の氾濫で流され個体種を増やしていったのでしょう。

「立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花」のごとく、ユリ科の花は美しいです。美しさを心の中にしまい、家主も世の憂いを時に忘れて生きていきます。

            IMG_0840.JPG
            IMG_0841.JPG
           




nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

誕生歌道を開く ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。