七崎神社

欠損、ずれ、ゆらぎ、ひずみ、すきま、などというものに気づき、それが心中大きな位置を占めるようになったのは、いつからなのでしょう。子どものころは考えもしなかったでしょうから、大人になってからなのでしょう。それも比較的最近のような気がします。けれど、小さい時や若い時は気づかなくても、自ずと欠損に向けて、それを穴埋めするために行動していたのかも知れません。

欠損は、完全に埋めることはできないし、ふさぐこともできないのですが、欠損を埋めようとしたり、すきまをふさごうとしたりするとき、大きなエネルギーが湧きたつ気がします。人は、生まれた時から死に向かって生きていて、不老不死ではありませんし、そもそも宇宙は欠損から生まれ出たのかもしれません。人も宇宙も欠損を抱え持つ存在なのでしょうか。

北・東北で大きな欠損地はどこかというと、それは十和田湖です。縄文時代前期にも、915年(平安延喜15年)にも 大爆発がありました。大きな欠けが生じ、そこに水が溜まって湖になりました。十和田湖を前にするといつも、湖が悲しみを吸い取り喜びを受け止めてくれる、それも丸ごと。この全能感がたまりません。春から秋にかけて時々出かけます。

さて、初詣に五戸の七崎(ならさき)神社に行ってきました。今は八戸市に編入されましたが、中世は永福寺、近世は徳楽寺として栄え、参詣人が絶えなかったといいます。十和田霊場の修験の拠点でした。江戸時代に盛んだった十和田信仰の本拠地でした。廃仏毀釈で伽藍はすっかり縮小され、今はひっそり閑としていますが、苔むす落ち着いたたたずまいと樹齢千年の三本の杉が、古刹であることを物語っています。時の湖を湛え、時の堆積を称えている神社です。

凡庸でいい。今年一年の安寧を祈ってきました。

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