谷地鬼剣舞

今年で3年目になりますが、はるばる130キロ余り、北上市から谷地鬼剣舞の踊り組み18名が下海上地区に来訪し、庭で鬼剣舞を舞いました。今年も晴れて天気は上々、赤トンボの舞う気持ち良い午後、変哲のない草地の庭は、お囃子や踊り手が揃い祖霊が帰る神聖な舞台として立ち上がります。精霊トンボに運ばれた精霊様が帰る聖地となりました。

笛や鉦や太鼓のお囃子が鳴り出し、ひざまずいた鬼に祖霊の魂がゆっくり入っていきます。お囃子の程よいところで、鬼たちが一斉に舞い始めます。すでに、鬼の仮面をかぶっている人が踊っているのではありません。鬼が踊っているのです。いや、鬼があるものに踊らされているのです。あるものとは何でしょうか。

能楽師の安田登によると、鬼という漢字は跪坐(きざ)する人が仮面をつけた姿で、仮面はただの扮装のための道具ではなく、仮面には本人の意志を超えて、舞を舞わせる力があるそうです。

鬼剣舞も同じです。魂の通り道になった鬼の体が、何ものかに踊らされます。飛び跳ね、廻り、足を踏み、刀を振るい、全霊で踊り終えた鬼はまたひざまずいて、そして息を整え、うなだれ礼をします。でもこれは礼ではありません。脱魂なのでしょう。

そもそも、北上市谷地鬼剣舞のみなさんとの交流は滝つながりでした。今から5年前に下海上の谷地大滝をきれいにする会を立ち上げて、荒れた滝周辺の藪払い、草刈り、桜の苗木植え、土入れ、道普請、東屋つくり、駐車場整備などを少しずつ進めてきました。3年前にその様子を新聞に取り上げてもらったところ、記事を見た北上市谷地鬼剣舞の佐藤さんから「きれいにする会」会長宛てにお手紙をいただきました。それがきっかけで交流の運びとなったのです。谷地大滝大明神が取り持つ縁というものでしょう。

今年も勇壮、華麗な素晴らしい踊りを見せてくれた谷地鬼剣舞のみなさんに感謝したい。若い踊り手も増えているとのことで頼もしいかぎりです。守るべきものは、山河と伝統なのだと、改めて思いました。

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